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ステレオ放送と 当社の特許

2000,0925講習 1101最終校正

 今日は 先週のステレオ放送の話を復習し、その後 音声多重からワイドスペクトルの話に入る。

先週グラフを描いて「普通の会話の音声は 300Hzから3000Hzくらいの間にあるが、
ステレオハイファイでは人間の耳に聞こえる限界の19KHzくらいまでの周波数の音の放送が
されている」と言う話をした。
ところが、この音声の分布というのは何なのかという肝心な話を(過去に何度か話した事は有るが、
前回は)しなかった。

例えば300Hzの音が有る。(横軸は左が低く右が高い周波数を取り、縦軸に信号強度を取った)
グラフでは この(左端に近い)1本の線で「300Hzの音の成分が 棒の高さの強さで有る」と
いう事を表している。これはグラフ化しているだけであり、人間の観念としては どうなるのか? 
人間の感覚にすれば「300Hzの音、それ一つきりが有る」と言う事になる。
その音は、どこから湧いて来るとも分からない様な「濁りも角の立った様な感じも無い」澄んだ
綺麗な音、サイン波(サインウェーブ)の音。その状態は、グラフに描いた様な「幅が無く、
シングルトーンと言う300Hzが有る」だけの物だ。

このグラフは横方向が周波数の高さを表し、強さは縦方向に表す。だから300Hzの音が倍の
強さなら、棒の高さは倍になる。
人間の声は高いのから低いのまで沢山の成分を持っており、殆どの音は300Hzから3000Hzの
間に入っている。そして3000Hzを越えたら突然無くなるのでは無く、少しは有る。なだらかに 
両側に はみ出している。。
これが音楽放送のハイファイの音になると どうなるのか? 300Hzより低い音や10数KHz
と言う高い音も出しており、音の幅が広い。ハイファイ、ワイドレンジ。
前回、ステレオ放送は人間の耳に聞こえない高い周波数のところに云々と話したが、実はそれ以前の
問題がある。ステレオの右の音が(グラフの)ここに有るとすれば、左の音も同じ所にある。だから
(混ぜない様に)アンプもスピーカーも2組要る。

しかし(1局の)ステレオ放送局では2つ送れないから、右と左を足して送っている。
右+左が聞こえるだけではステレオでも何でもない。後で右左を別々の音に分けなければいけない。
そのためにFMマルチという回路が組まれていて、それを送る為に38KHz(人間の耳に聞こえない
周波数)を中心としたサブチャンネルに R-Lと言う信号を置いている。モノラルラジオで聴くと
R-Lは聞こえないが、ステレオではRとLの信号を得る為に必要である。両立性を保つ為に 
この様な複雑な方法を採っていると言う事を先週 話した。

ここでステレオでは無く 音声多重は何かというと、R-LでもR+Lでもない。この(ステレオの
時はR+Lが有る)普通に聞こえる部分に日本語。(周波数が高くて聞こえない部分の)こちらが英語。
この方がR-Lや R+Lより、分かりやすい。
2カ国語放送は 普通のテレビだと日本語だけしか聞こえない。ところが音声多重のテレビでは、
この(周波数が高くて聞こえない)部分を引っぱり出して本来の300Hzから3000Hz、
音楽だと高域が16KHzと言う周波数に戻して別のスピーカーから出す。あるいは1つのスピーカー
に繋ぐとR+Lで日本語+英語が聞こえる。
リモコンや本体で どちらを選ぶかにより、日本語か英語が決まる。これが音声多重放送で、正確に
言うと音声「2重」放送でしかない。多重というと3重も4重も有る事になる。これは、人間の耳に
聞こえない所に同じ様に沢山信号を作る事で英語、フランス語・・・と理屈の上で出来なくは無い。
それと同じ事を実際に やったのが、当社の最初の製品のワイドスペクトル変調。

英語部分の電波中心38KHzを基準とすれば、音声の周波数0Hzと同じ基準点が38KHzと
なり、300Hzの音は38KHz+-300Hzの所に必然的に出てきてしまう。
「両方は要らない!片方が良い」と言っても自然に両方に出て来るし、その方が片方に作るより 
技術的にも簡単である。(水面に石を投げると 一方だけに波が出来ないで、全周に広がるのと同じ)
3000Hzは3KHzだから38KHzを基準にすると、41KHzと35KHz。
この様に今の音声2重放送では英語の成分を送っている。言葉を送ろうとしているからそれだけの
幅が要る。

当社のラジコンの場合は、上か下か、右か左かと言う信号しか要らないから、1つの信号につき
周波数は1つだけで足りる。だから、すぐ側に少し(信号が)有るだけになる。
例えば300Hzの信号が来れば東へ動く、400Hzが来れば西へ動く、これで東西ができる。
南北は?と言うと、(当社の場合はステレオと違い もっと低い周波数でも良いと言うことで)
30KHzを中心に300Hzが来れば南、400Hzが来れば北、という風に信号を作った。

上下の場合は300Hzが来れば下、46KHzを中心に(1つの信号で大丈夫だから幅は
余り要らないから)何組も信号を作った。南北の組・東西の組・上下の組と・・・。
音声多重に例えると、こちらは音声4重放送で上下、東西、南北、と信号を作り、それに
まだ入切が有ったり 補巻きの上下が有ったりで、実際は5重。
ところが普通の音声の周波数は余っている。ここにリモコン信号を入れても良い。
しかし、普通の音声の信号部分は 混信すれば音が聞こえるから、ワイヤレスマイクや放送局や 
トランシーバーが混信する。その時300Hzが来れば、ここで上が動いてしまう。
これでは具合が悪い。

当社の信号の特徴は、普通使われてない周波数を使っている事。
”普通使われていない周波数が 他から混信する事は無い”と言う事を特許にしている。
音声の信号部分は空けてある。だから どうでも良い信号には使える。例えば 時間を知らせる
サイレンの様に・・・警報なら、間違えて聞こえたとしても そうは困らない、と言う事で 
この部分には 警報を入れた。
せっかくスピーカーを入れたので、それだけでは もったいないので送信機にマイクを付けて
「退け?」と言えば、頭上の受信機から「退け?」と聞こえる様にした。そういう風にして
「音声多重の無線操縦です」と言って売った。
世間では音声がメインだが、当社では音声の方が付け足し。多重部分を設定してリモコンに 
したのが当社の特許のポイント。

最初はクレーンの無線操縦ではなく 車のエンジンをかける装置(スタンバイ)をやっていたが、
その時は2信号だった。300Hzが来ればセルモーターを回す、400Hzが来ればアクセルを
煽る、という風に作っていた。アクセルを踏んでセルモーターを回す場合も多く、車の場合は 
300と400が一度に来る事も有った。
クレーンの場合は、上げと下げが一度に来ることは無いので、それを1組としたが、車の場合、
隣で同じ周波数を使っていればエンジンが掛かってしまうので、スタンバイは周波数が同じでも、
信号部分の周波数の中心を変えると言う方法で5~6種類作っていた。
その中心が 先のサブキャリアであり、1組の送受信機に上下、東西、南北、等何組か有る
クレーンに比べ、スタンバイは 1セットには 始動とアクセルの1組だけだった。

これらの信号をFMラジオで聴いたとすれば、どれも同じ様な音が聞こえるだけ。
これはモノラルのラジオが ステレオの部分を聞き分けられないのと同じで、この信号を無用な
雑音や混信として聞いているからだ。
ラジオは 当社の信号の違いを選別する能力を持たない。しかしスタンバイの受信機はこれらの
違いを聞き分ける能力を持っているから、それぞれの車のエンジンを掛ける事ができた。

音声多重放送が世の中に有りながらワイドスペクトル変調が特許になったのは、特許にせよ
実用新案にせよ 目的が違えば通ると言う実状からだ。
音声多重放送やステレオ放送は 言語や音楽の多様性に対応しようとして 出来ている。
しかし当社の無線機の場合は、混信と誤動作防止を目的にしている。
「普通の電波が混信しても誤動作しない手段」として使った為、別の権利として成立した。

話が それるが、ゼロ線電源も同じ様な物がある。しかし特許に通った。何故か?
用途が違うからだ。
ホタルスイッチと言うのは、メインの電灯が消えている時に点く。スイッチを切っている時には
電気は スイッチ両端のネオン管の中を電流が流れる。だからネオンランプが小さく点く。しかし
ネオンランプが電気を沢山流す物なら、メインのランプまでが点灯してしまう。これでは意味がない。
そういう事も有り得るので、これで受信機を動かそうとは誰も思わなかった。受信機はかなり
電気を食うだろうから「巧く動く筈は無い」と思われていたが、計算してみればいけた。
ホタルスイッチが世の中に既に有ると言えば そこまでだが、目的が全然違うから特許に通った。

これと似たものがもう1つあり、ちゃんと回路を動かしている。それは初期のプッシュホン。
その前にダイヤル式の黒電話は どうなっていたのか?と言う話から始める。
電話と言うのは受話器を上げてないときは48Vの電圧が来ている。受話器を上げると、
フック・スイッチが閉じる。そのフック・スイッチに受話器と送話器が直列に繋がっている。
受話器を上げると電気が流れ出す。

48Vが、12Vや 場合に因っては5Vに落ちてしまう。電圧が下がる。電圧が高い時に使えず、
低い時に使えると言うのは常識の逆だが、12Vの電圧が流れる中でマイクに向かって話すと、
空気の振動に従って電流が変化する。それが自分の所にも聞こえるが、相手にも聞こえる。
こういう回路で電話は動いている。
他にベルの回路がある。ベルが鳴っているときは100Vを越える電圧が来るから、その時に線を
触ると感電する。そういう高い交流電圧が来た時、始めて昔の電話のベルは鳴っていた。

今の電子回路の電話は そうではなく、低い周波数の交流が来た事をコンデンサを通じ回路が
拾って動く。ベルの話は置いて、プッシュホンの ピッポッパと音を出す回路は電気も使わず 
どう動いているのか?
繋いだ時に12Vくらい来ているから プラスが来てもマイナスが来ても使える様にダイオードで
ブリッジ整流して、その電流を使って音を出す回路を働かせる。
当社のゼロ線電源では ここで受信基盤が1枚 繋がって電気を使っているのと一緒。
ただし、ピッポッパと言う音がするだけでスピーカーを鳴らそうというほどの物では無いから、
回路は少ししか電気を使わない。だから常識的に使えていた。

当社の様にリレーが何個も動く様な回路を・・・いわばラジカセ一台を・・・動かしてしまおうか
と言う様な事は常識では考えられなかった。だから特許になっただけで、プッシュホンや
ホタルスイッチの例の様に 似た様な物はある。しかし使い方が違う。


同じ様な良い頭を持っていても 使い方が違うからアカンと言うのと、良く似ている。


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