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ステレオの話

2000,0911講習 0914最終校正

 ステレオはアンプの両側にスピーカーが2つある。今日は この2組が一体どうなって
いるのか?と言う話をする。
例えば朝礼時、中央で話をしているのが 1本のマイクで全体に聞こえている訳だが、
ステレオでは それと同じ物を2組使う。これが放送になった場合、放送局が2組必要に
なるのか?と言う問題が起きる。
最終的には放送局を2組使わず、1つの放送局でのFMステレオ放送や、テレビの音声
多重のステレオ放送の話へと発展させる。しかし基本は、この「マイクとスピーカーが
2組有って話が出来る」その事と全く代わりはなく、ただ使い方が違うだけ。

ステレオと言うのは2組のマイクで 色々な音の広がり・場所を代表して再現しようと
しているだけ。では どうするのか?マイクが右と左にある。その真ん中で歌っている。
あるいは後ろに伴奏がいる。仮に左側にアコーディオン、右側にバイオリンとしよう。
そして録音する。後で この2つを時間的に ぴったり同じに再生できるなら本当は
2つのテープレコーダーに別々に録音しても構わない。しかし それは難しいので、
2組が1度に動くテープレコーダーに繋ぐ。

例えば、このラジカセにマイクを2本繋ごうとする。マイク同士を繋いでからラジカセ
に繋ぐ。これでは何にも ならない。バイオリンの音は左のマイクに近いので大きく入り、
右のマイクは遠いから小さく入ったとする。しかしマイクを2つ繋いでから録音すると、
左右のマイクに入った音は混ぜられて、両方同じの音の大きさになってしまう。真ん中の
声も左右同じに入って、同じ大きさに録音されてしまい、何にもならない。
これでは単なる並列で ステレオではない。

並列とステレオは何が違うのか? 1本のテープの右用トラックと左用トラック、それ
ぞれの場所へ、左右の2本のマイクから入った音を別々に(ヘッドで磁力線に変えて)
録音している事に意味がある。それは「左側のバイオリンの音は、左のマイクに近いから
強い、大きい。右のマイクでは距離が倍になったので弱くなって音が小さい」と言う理由
だけではない。音には波長があって、聞こえてくる時に距離の差が出てくる。
分かりやすく描くと、一点から同じ音が出ていく。1.5サイクル目に左のマイクの
所でゼロになった。これが右のマイクに辿り着いた時、同じゼロになっているかどうかは
偶然の問題。波形が下向きの時もあれば、下から上に向かっている時もある。

これが位相の差。同じ波形でも、聞いている位置が変われば(波形の)違う所を聞いて
いる事になる。その差の感覚は、距離による音の大きさの違いではない。
1つの音が 小さい方から大きい方へ移動してくる。目をつぶって聞くと 左の方から
聞こえて来る、と言うのが この音の差。これがもし、マイクを2本並列に繋いでから
録音したなら、バイオリンの左右の音の強さの差を先に纏めてしまう為、聞く側は片方の
耳を塞いで 残る片方の耳だけで聞いている様なもの。耳の場合は向きを変える事で、
音が どちらからの方向から来ているか分かるが、スピーカーやマイクに耳の方向は
関係ないから、強いか弱いか しか分からない。
そういう風に音量の差あるいは波形が何回分で届いてくるかの位相の差・・・つまり
時間の遅れ・・・を人間の耳が微妙に聞き取って、左右の楽器の位置の違いを感じている
のがステレオ。

実際にラジオで左右2つを別々に放送していた時代が、今から35年か40年くらい
前には有った。当時FM放送は無かった。NHKのAMラジオ第1と第2で左右を別々に
送って、それを受信していた。当時のステレオチューナーは、ダイヤルが2組付いていた。
しかし廃れた。何故か? AMが音楽向きの音質ではないと言うのもあるが、NHK
第1と第2の両方が全く同じ条件に聞こえる事は無かったから。片方だけ雑音が入る等、
左右の音質が あまりにも違い過ぎた。

そこで左右を 一纏めで送る方法はないのか? と言う事になった。AMで いくら
頑張っても巧く行かず、FM放送に注目する様になった。FM放送は元々周波数が高い。
高い周波数というのは比例して沢山の情報を送り込める。 我々の無線操縦の業界でも
2400MHzのSS通信というのは 多量の情報を送っている。
AMラジオのNHKは945KHz、四国放送は1269KHz。そういう1MHz、
2MHzと言うAMラジオの放送に比べると、FM放送は70MHzとか80MHz。
テレビの1チャンネルでは90MHzから96MHzと言う幅の広い(6MHzもある。
ラジオが何局入るんだ? と言うような)周波数をチャンネル1つに使っている。

それだけ情報量が多い。同様にFM放送も ハイファイな良い音が送れる。しかし高い
音も低い音も良い音が送れると言う事と、ステレオであると言うことは全く別。
ステレオになると、もっと多量に情報を送らなければいけない。その内容は何かというと、
左には大きなバイオリンの音と位相が遅れて小さなアコーディオンの音。右には小さめで
位相が遅れたバイオリンの小さい音と アコーディオンの大きな音。
これらの音が左右それぞれのマイク入る。これをNHKラジオ第1第2で送っていたの
が、昔のAMステレオ。それではFMでは どう送るのか? モノラルの頃はマイクが
1つで十分だった。ステレオに しようとすると、左右を別々にする必要がある。そこで
考えられたのが左右の音を足し算して送る方法。

左右のマイクを足し算するとL+R。引き算した波形を作ることも出来る。L-R。
2つの放送局からL+RとL-Rそれぞれの波形を送る。L+Rの信号を聞いた場合も
L-Rの信号を聞いた場合も人間の耳には、1つの音が真ん中から同じように聞こえる
だけ。しかしこの信号を さらに足し算引き算すると・・・・
L+RとL-Rを足せば(L+R)+(L-R)=2L+R-R=2LでRは無くなる。
次に(L+R)-(L-R)とすれば、2RとなりLは無くなる。
こうして2つの放送局から 左右別々の音を取り出す事が出来る。

これは まだ2つの放送局としての話。片方の放送局だけ聞いている人もモノラルで
普通に聞けるし、2つの放送局からの音を少し足し算引き算するだけで左右の音を別々に
取り出すこともできる。左なら左だけ、右なら右だけの音を別々に送るのと違い、ラジオ
が1つしか無い人でも普通に聞けるし、2つある人はステレオで聞ける。これはメリット。
両立性(コンパチビリティ)だ。

ここまでは放送局が2つの話。それでは1つで送る方法は? と言うと、テレビの音声
多重放送。普通のテレビでは日本語のみ、裏側では英語が聞こえる。これはL+RとL-
Rを巧く操作する事で出来る。(時期は音声多重の方が ステレオ放送より後になる)
音声スペクトラムをグラフに描くと、音の大きさが縦軸、右へ行くほど周波数が高い。
会話だけなら300Hzから3000Hzの周波数の音が出ていれば普通に聞こえる。
音楽なのでせめて10KHzから15KHzの音域まで広げよう。

FM放送は、高い音が出るハイファイだと言う音を、左右を足した信号で送ってくる。
この時、メインの信号から ずっと離れた38KHzを中心とした(ちょっとした事情で)
両側にR-Lと言う信号が2つある。R-Lの信号は38KHz±3000Hzにある、
ダブルサイドバンド。300Hzの音の時は 3kHzからチョット離れたこの辺、
3KHzの時は 35kHzと 14kHzの この辺・・・となる。

38KHzは実は超音波で人の耳には聞こえない。ラジオ放送のマイクの前にコウモリ
が居て鳴いていても、普通人の耳には聞こえない。それを機械が捉えて送っている様な物で、
R-Lの信号は人の耳には聞こえない。普通に聞こえているのはR+Lの信号部分。
テレビの場合R+Lの普通の音で日本語を送り、R-Lの超音波で英語を送っているのが
音声多重。
先に、右なら右だけ、左なら左だけの音を送ると言う話をしたが、この場合、モノラル
FMラジオで聞けば 右だけの音しか聞こえない。信号がR+Lなら、両方が聞ける。
ステレオなら自動的に足し算引き算をしてくれる。この多重の部分にNシリーズ以前の
うちの微弱機の信号がある。この辺に上下・この辺に左右・この辺に東西・・・・と耳に
聞こえない部分で信号を送り、低い方の周波数は空いていた。だから最初の頃はマイクが
付いていて、ボタンを押して話せば、頭上のクレーン(受信機)から声がする・・・と。
そうして売り出したのが一番最初の機種サテレータ10(テレサテンと呼んだ人も居た)

FMのステレオ放送と言うのは ハイファイを越えた、人の耳に聞こえない高い周波数に
R-Lの信号をおいて送り、それを機械の中で足し算引き算して、両方のスピーカー
から出す。モノラルの時はR+Lの音しか聞こえない。
スピーカーも、いくつも付いている物がある。これは左右それぞれ、大きいスピーカー
は低い音用、小さいスピーカーは高い音用と 周波数で受け持ちが分かれている。中には
3つも4つにも分かれているマルチチャンネルステレオも有る。それでも安物はアンプが
1つ。アンプも左右だけでなく高音・低音を分けている高級なステレオもある。

楽器の数だけ マイクもアンプもスピーカーも用意すると 限りなく生演奏に近づく。
そこまでしなくても・・・と2組で そこそこの音を出すのがステレオ。音域別に左右の
アンプもスピーカーも用意しているのは高級な値段の高いステレオ。


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