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真空管の復習

2000.1218講習 1225最終校正

1.熱電子の働き

先週、ヒーターが熱電子を出す、それが真空管の大元だと言った。
最初のヒーターは線で出来ていた。次のは直熱型でなく傍熱型で、ヒーターでカソードを
暖めると言う話をした。いずれにも共通するのは、電池を繋いで電気を出している、熱を
出していると言うこと。電子の量を巧く調整することで真空管として増幅させようとして
いる。

電子の量を調整するにはヒーターに繋ぐ電池の電圧を変えても良い。電池を沢山付ける
と、より明るくなって電子も熱も出る。電子が出ている事を どうイメージするかという
と、ここから熱や光が出ているのと一緒。ぽぉ-っとオレンジ色に光っている。
それと同じ様に電子も出ている。すなわち電子・電流が空間を飛んでいる。
量は少ないが電気が空気中を飛んでいるのと一緒。

真空管を見ると、2極管では金属製の筒があって、放熱の為のヒレが出ている。
その中にフィラメント(ヒーター)が有って、ここに電池を繋いでヒーターを暖める。
ヒーターとプレート(陽極)の間というのは、どこも電気的には繋がっていない、空間。
それなのにここへ100ボルトや200ボルトの高い電圧を繋ぐと、電流が流れる。

真空管の記号で描くプレート。ヒーターは直熱だから こうなっている。ここに電池を
繋いでプレートから高圧を掛けると、プレートからヒーターに電気が流れる。空気中なら
バチバチと火花が飛ぶのと同じ事が、真空だから見えないだけ。パチパチは空気の音。
このオレンジ色に光っているのが 流れているのではない。オレンジ色の光は赤外線も
出しているし、電子も出している。光が出ている、暖かいと言う事と同じ事。

だから途中に何かを置くと遮ってしまう。ヒーターからプレートへ向かって出ている
電子を プレートが効率よく捉えているので 空間を電流が流れている。


2.見える電子の流れ、放電

普通は電流が見えないが、特別な真空管になるとガスを入れて有り見える位 流れる。
定電圧放電管はツェナーダイオードと同じ事で、プレートからドンドン電流が流れる時に
ガスの所為で紫色の火が見える。蛍光灯もガスで紫外線を出し それを蛍光体塗料に当て
可視光を2次的に出している。

ネオン管はオレンジ色のが見える。それと一緒で、真空管として働いた時、この中に
紫色の火が見える。流れる電流が少ないと見えないだけ。
定電圧放電管には何故 光るほど電流が沢山流れるのか? ツェナーダイオードと同じ。
陰極をアースし抵抗を通じてプレートから 電圧(仮に10ボルト)を掛ける。
電流が全然流れなかったとすると 直列に入っている抵抗では 電圧が落ちないから、
ここには10ボルトが そのまま掛かる。
4.7ボルトのツェナーダイオードに(限界が4.7ボルトと言う事で仮に近い電圧)
10ボルトが掛かるなら4.7ボルトに下がるまで ツェナーは電流を流す。
抵抗を通して落ちる電圧変化に因って、釣り合った4.7ボルトで 電流が止まるのが
定電圧(ツェナー)ダイオード。

同じ様に電圧を掛ければ掛ける程、放電の量が増えて この筒の中で光の量が増えて
来る。光っているだけ沢山の電流を流す。流れるほど電圧は落ちる。ここの電圧は下がり、
下がりすぎると放電しなくなるので また電圧は上がる。それで一定の電流を保つ。

例えば、縁の高さが外周で微妙に違うコップがあり、上から水を入れている。
一杯になるまでは水がドンドン入る。ところが一杯に なり掛けた時、低い縁の方から
水が落ち始めるが高い方からは落ちない。
いくら水が入って来ても、水は この高さの違いの範囲内に有る事になる。
そういう感じで 電圧を ほぼ一定に保っているのが定電圧放電管や定電圧ダイオード。

物理現象としては この定電圧放電管と定電圧ダイオードは全く原理が違う。真空管は
実際に放電している。だから4.7ボルトなどと言うのは出来ない。大概105ボルトが
最低限度。同じ放電管のネオン管でも 蛍光灯も100ボルト位 無いと動かない。

又ダイオードでは 放電では無い。ダイオードは物理的現象で電流が流れる・流れない
と言う事を やっている。 又 普通のツェナーダイオードは3.9ボルトが限度。
2ボルトくらいのツェナーダイオードが有るのは、発光ダイオードを逆さに使っている
だけだったり、普通のダイオードで 0.6ボルトの順方向電流が流れている時の 電圧
差を 使っていたりする。

真空管とダイオードの違いは放電という物理現象を利用しているのと、半導体の物理
現象を利用しているのとの差。しかし その調節方法は同じ。


3.電子量の調整?

さて、真空管で増幅しようとしたとき、ヒーターの光具合で電子の量が変わるのだから、
ヒーターの光具合を調整するのが 一つの方法になる。しかしヒーターというのは結構
電気を食う。少しの電流の変化で大きな変化を作るのが増幅なのに、ヒーターの暖まり
具合で調節すると言っても、それを音声の波形の通りに 明るさを変化させる等 出来る
訳が無い。それで2極真空管の間に格子(グリッド)という邪魔者を入れる。

その格子に掛けている電圧の具合で 邪魔の度合いを変える。電流は殆ど流れないので
電力としては殆どゼロで済む。これなら 少し電圧を変えただけで大きな変化となり 
増幅できる。
格子は プレートに到達する電子を邪魔している。邪魔の度合いは 格子に掛けた
電圧で決まる。なぜ 格子に電圧を掛ける事により変化するかは、電子はマイナスなので
プラスへ寄って行くが、マイナスへは寄って行かない。
格子にプラス あるいはマイナスの どちらの電圧を掛けているかで格子に寄って行く
電子の量が変わる。それが どの程度の量 プレートに達するかどうかの差になる。


4.ブラウン管の電子制御での説明

それを分かりやすい形で利用したのがブラウン管。テレビのブラウン管は今は電磁偏向
と言ってコイルを巻いて磁石で電子を引っ張っているが、オシロスコープのブラウン管や
大昔のテレビのブラウン管は、電極板を置いて それに掛ける電圧で制御している。
いずれも根本に電子銃(ヒーター)が有り 電子を発射している。

中間に 縦の板と横の板が付いていて、一対の片側にプラスの電圧をかける。電子は
プラスの方へ寄って行き、真ん中に放射した筈の電子線がプラス側に寄る。
反対側にプラスを掛けると反対側に寄る。こういう風に電圧の掛け方で 電子の寄り方が
変わる。
電圧の高い低いを 上下の板に掛ける電圧にすると、オシロスコープ上で高低となって
現れる。これだけならブラウン管の中で ただ上下に1点が上下一直線に動くだけだが、
時間に比例して 横の電極板に左から右へ掛ける電圧を変化させる。そうする事で 普段
私達がオシロスコープで見る形となる。

ブラウン管では 途中の板に電圧を掛けると電子は 寄って行ったり反発する。普通の
真空管と違って プレートに電子を当てずに、ほぼ直進させた電子を蛍光面に当てて光を
出させている。
普通の真空管では 格子を置いて電子方向や量の変化を利用して、正面のプレートに
当たる電子量を変えて 電流を変化させている。それは間を飛ぶ物が 電子だから出来て
いる事。電流の調整は そうやってグリッドで行っている。

真空管は、ヒーターから出た電子がプレートに届く量をグリッドで遮る事により調節
している。グリッドは水の溜まった水槽の蛇口の ひねり具合を調節する働きをしている
と考えれば分かりやすいだろう。


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