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回路の必要性

2000,0612講習 最終校正0705

 先週に引き続き 逆説的に、回路が何故必要かを 説明してみよう。

蓄音機=真空管もトランジスタも無く、そこそこの音量で レコード音楽を出す箱。
レコード盤が回るのはゼンマイで それを手で巻く。音が出るのは 朝顔型のラッパから。
このラッパの根本に振動板が有って その振動を、ラッパの導きで大きな音として共鳴
させて出している。
振動板は 何故振動するか。振動板に針が付いていて 針の先はレコードの溝に接して
いるから回転に連れて溝の振動を針先から拾う。針先の振動は 溝の面の凸凹で これが
音楽の波形通りの凸凹になっている。
糸電話の場合は 受話側が この振動板と同じだが、送話側が こんな溝と針ではない。

それらを何故 電気式にしないと いけなかったのか。レコード針の先を沢山振動させ
たら音が大きくなる。しかし物理的限界がある。それではテコ(梃子)の原理で 振動板
だけを大幅に振動させればよい。振動板の振幅を梃子で大きくするのなら、針先には比例
した 大きな力が必要になる。動きは小さいが力は何倍も必要になる。これがテコだ。
それでもテコが役立つのは 100キロの荷物を動かそうとしたら全く動かないけど、
持ち上がる10キロなら10回運べば良いのと同じ。動く量は10倍でも1回が軽いから
疲れないや・・・そう言う原理。
実際にテコの力点は 作用点の何倍も移動する事によって、作用点では力点の何倍もの
力を出すが 代わりに 作用点の移動量は何分の一しか移動しない。
これが機械式の限界なんだ。レコードの溝に針を押しつけると溝が磨り減るだけ。

そこで電気が登場する。針先に ピックアップと言う コイル式か圧電式の物を当てて
レコードを回すと、機械式の振動の代わりに、電圧の変化が同じ振動に比例して得られる。
電圧変化なら アンプで大きな変化に増幅できる。大きな電圧なら スピーカーに掛けて
やれば 比例して大音響を出せる。
テコでは力の強さと 振動幅に機械的な限界が有って、一定以上の音量は出せないが
電気ならアンプ次第 スピーカー次第である。
スピーカーは糸電話と同じだが、糸が振動を伝える代わりに コイルに流す電流が磁石で
押し引き力を作って 振動板を振動させる。振動幅は設計と電流電圧次第である。


スピーカーの面積全面を占める紙は 浅い円錐形を しているから、コーンと呼ばれる。
これは なぜかというと平面の、まっすぐな円盤をつけても音は出るのだが、まっすぐな
円盤からは平行に音を出そうとしても 自然に広がる物だから、出ている音を少しでも
真ん中へ向けて集めようとして 凹みの円錐形になっている。
その証拠にハンド・メガホンという物は 電気も何も使ってないバケツの底のような
状態で使えている。声を散らさないようにガイドしているだけ、それで声が大きく成る。
それと同じ様な事を平面のスピーカーでも、中心線の方に集中しようと やっている。

もっと良くしようとすると、コーン自体は小さいのだがアサガオ型の大きなラッパを
つける。さっき最初に説明した蓄音機が 当社のプレハブの2階に有る。
余所から持ち込まれた 電気を使わないプレーヤーで有るが、その展示品そのもの。
針と振動板との間の長さが支点への比率で1:2としたら 針がビリビリと1幅震えた
なら、振動板では2幅震えるから 元より2倍大きな音が出る。電気なんか使わなくても
音が出るではないか。もし梃子を10:1にしたら10倍も大きい音がでるではないか。
と理屈の上では そういう事になる。

それだと10:1や100:1にすれば アンプなんか使わなくても機械式のレコード
プレーヤーでドンドン大きい音が出るという事になる。ところが何故アンプが普及したの
か?考えてみればテコでも そうだが、左に作用点があって支点があって、そこに重たい
石が有る。力点でヨイショと持ち上げる。しかし長さが10:1だとすれば、10倍の
力を発揮したとしても動きが10分の1しかない。

これの逆になる。石の位置にプレーヤーの針が有って、手の位置に紙のコーンが有って
音が出ると考えれば同じ考え方ができる。紙が10倍もの動きをするのは良いとしても、
針の力も10倍必要になってくる。針を動かすのに10倍の力をかけて大丈夫なのか?
音を100倍にしようとすれば、あれだけの小さい所で100倍の動きになる・・・
動きが100倍になるのは まだ良い。こちらで0.1ミリ震えたら向こうが10ミリ位
震えるとすれば それだけ、震わせる事が出来るだけの力を持っているのか?


10ミリ動かせるなら このマイクでも一緒。マイクを例に言うが、軽い物は良い。
でも大きい動きをしないと意味がない。テコには限界がある。それ以上は無理であって、
こんなモノを作って一生懸命、針の先でレコードの溝を削りながら音を出すよりは 針を
軽くし、動く部分・擦る部分を出来るだけ小さくして、電気の力でスピーカーの振動紙を
大きく動かせば良いではないか、というのがアンプ。

その為に電気が なぜ必要なのかは まだ出てこない。同じ様な物が糸電話。
糸電話と言うのは 筒の中に紙の振動紙を付けて 糸を引っ張る。糸がピンとしている
時だけ音が聞こえる。長くしようとすると 途中あちこちをゴム紐で ぶら下げたりして
糸を引き回す事は不可能ではない。距離が長くても 曲がっていても 通話が出来る。
これは どうなっているかと言うと、ここで喋った音圧の通り 送話の紙が振動する。
糸がピンと張っている限りは、相手に振動が伝わるから。 元の声より小さいが
それでも そこそこの大きさで聞こえるのは、紙の外の筒で音を耳に集めているから。

この様に 音を伝える方法は色々有るが、小さくなった音を 大きくしようとすると
エネルギー量を増やさなければ いけない。
どうやって増やすのか? 何か別の方法を考えなければいけない。電気で無い方法で他に
幾つか有る。例えば油圧のトラッククレーン。これには車のシフトレバーに好く似た丸い
玉の付いたレバーが有る。あれを動かすと 下に油圧のバルブが有って開いたり閉じたり
している。こちらに流れるとアームが右に動いて 反対に流れると左に動く。

油が こちらへ流れている時には左へ、反対だと右へ、より沢山流れた時は より速く。
この時 元の油は何処から来ているのか? 油圧だといっても、この中に入っている油
だけを 一生懸命、自分の手自身押し出しているのなら・・・先のテコと同じで・・・
いくらやっても10回 回せば、やっと こちらが1回動いたという事にしかならない。
そう言う製品もある。車のジャッキは その方式で上げて 降ろす時だけ栓を抜く。
しかし回数が多すぎたり 1回が重すぎたりすると馬鹿らしい。抜く時みたいに楽に!

100キロの10分の1の10キロだったら動かせる。10キロ動かせるのを 10回
やって、10倍時間が掛かっても良いではないか と言う人は やれば好い。これを
10回動かしたところで1分、力は10倍。それは その人の自由。それだとラジオにも
プレーヤーにも電池は要らないのと同じこと。
ところがトラッククレーンは普段からエンジンをかけて油圧のポンプを回している。
ユンボ・ブルドーザーなどは皆そう。実は このポンプは 直接動かせるモノではなく
水槽と同じで、レバーとバルブが 水道の栓と同じで、開くか閉じるかだけなのだ。
こちらに開けば こちらに繋がる、向こうに開けば向こうが繋がる、という様に。
繋がるだけでも 圧力で油が流れて来ないと、油が有るだけでは 何にもならない。

水道と同じことで、水圧でも良い・・・昔は鉱山で使っている機械は水圧だった・・・
または蒸気でも良い。それは此処に もう1つ入り口のホースがあって、水なり油が
たっぷりと溜まっていたら 自らの重さで、下まで来るから、それを開けるか閉じるかで
済む。圧力が強ければ、ここから吹き出す力も強い。この力で水車を回せばよい、それと
同じこと。ここに水車をつけておけば 流れる量が分かる。

しかし油を あちこちに撒いてしまっては困るから・・・実は この水車の中は閉鎖
された状態になっていて・・・残りを また タンクに戻している。戻すのには 油を
上に引き上げないとイケナイから動力が要る。トラッククレーンは実は ここに油の
ポンプをつけて、これをエンジンで回している。圧力を掛けて此処に送り込んでいる。
無い時は空回りしているだけで、余った油は戻っている。そういう状態を作っている。
車のパワーステアリングも トルクコンバーターも そう。

このごろは電気式のステアリングも作っているが・・・油圧式のパワーステアリングは
実はズバリ増幅。ハンドルを回してなくても ベルトの掛かった ポンプがエンジンの
前の方で常に動いている。ハンドルを回している時に合わせて、油が力を発揮する。
オイルが空になってくるとクーーーという音がして おかしくなってくるが・・・
これと同じ事と すれば、ポンプを回すエンジンが要る。エンジンが無ければ動かない。 
そのエンジンの燃料=ガソリン/軽油を使用している事が、ここの水車を回す動力の
大元になっている。

オイルや水は単なる 間の仲介人であって、ここでポンプに圧力をかけて送る、或いは
隙間から勢い良く流れる、或いは水車に掛けると言うので、水を掛けていると水の温度が
上がってくる。中には冷やさないと いけなくなる場合も有る。
パワーステアリングのオイルは 力の量が知れているので冷やしてないが、車全体を
走らせるトルコン用のオイルは、その冷やす部分がラジエーターの中に繋がっていて
オイルを冷やしながら使っている。そういう風にポンプを回している その動力は誰が
持つのか? 江戸時代の火消しの水車みたいなものでテコで人間が一生懸命やっていても
良いし、電気が媒体ならば手回しの発電機も有る。オイルが媒体なので油圧のポンプを
回すのだ。それと同じ事が アンプの中での 電源回路や電池に値する。

オイルの池だ。電気の池は電池。レバーで捻ったり倒したりしてオイルの量を制御する
部分に当たるのが トランジスタで、入ってきているのが 電気になる。別の電気で 
入力のベース(バルブ)をチョコチョコっと動かせば コレクタ電流(オイル)が
ポンプ(電池)からやって来て流れようとする。

そのバルブを正逆回転用に2組用意し 水車の羽根の左右どちらに回ろうかという位に
当てる様にしておく。
バルブの取っ手に糸電話を付けて糸を繋いでおく。そして「あーーーー」と言うと、
取っ手がビリビリと動く。そうすると蛇口から出るオイルの量も、糸で動いている幅より
かなり多い量が・・・変わる。油が掛かっている羽根・プロペラが力一杯回ろうとする。
そうなると油圧の大きな力で(仮に)1:10になるから此処に大きな紙コーンを
付けておけば、紙の振動は 糸電話で言ったよりも随分大きなモノになる。

油圧式のアンプになる。油圧式の拡声器が出来るわけ。それを電気に置き換えたのが
その辺の売ってるアンプ。アンプは電池を消費するか、または電池の代わりを100Vの
コンセントから貰って電気を供給する事になるか どちらかの方法でやっている。
電池を使う電気を使うと言うのは何かと言うと、それは このスピーカーから音を出す
その動力に電池の電気が換わっている訳。

ここではオイルに対して圧力をかけるポンプの動力が、水車を動かす動力に化けている。
こんな事をする位なら この水車のレバーを直接手で回せば良い。力が少なければ出来る。
声の振動自体で隣の糸電話まで音は行っているし、メガホンで ここの振動が拡散する
のを前へ向けている。テコで こちらの声を10倍にして紙コーンに伝えたなら これは
機械式の拡声器。こっちのは油圧式の拡声器。間に何かを使って大きな効果を得る、その
為に電池なりが要る。

では先の鉱石ラジオ・ゲルマニウムラジオに戻ったとしたら、それは何か?
アンテナから受けた電波が・・・実際には同調回路が付いて・・・電波が複数有るから
選んだモノだけが こちらのコイルに来る。ここに弱い電波が来る。
それを次のトランジスタに伝える。これは先の油圧のレバーと一緒で縦に置いてある
だけ。電圧が上下に変わっているのと一緒。これはレバーの根本に付いているバルブと
一緒。ここのバルブで上から流れてきた油を調整している。ここはオイルタンクから流れ
込んできている部分と同じ。電池から沢山流れるか少し流れるか、それを これで調整
している。このままならトランジスタに電気が流れてしまうだけで 何にもならない。
当然ここにメーターでも繋いでおけばメーターの振り具合で分かるが・・・メータの針
・・・電流計の針自身が もし紙に繋がっていたら、スピーカーと同じような状態になる。

それでスピーカーと言うのはボイスコイルを巻いてあって、対面には永久磁石が有って、
ボイスコイル自身に紙のコーンをつけているから音が出る。この音の量はレバーを触った
のと一緒で、トランジスタのベースに掛かった小さい動きの電流の量。
プラスマイナス1mVしか動かないという電波だったとしても、トランジスタは この
1mVでベースから動かされており、コレクタには電池の電圧を掛けてある。
沢山流れても大丈夫なくらい 大きな電池を繋いでいたとすれば、ここにボイスコイルを
通じて流れる電流というのは1mVそのものではなく・・・水道の蛇口を捻っているのと
同じ事だから、捻る力と 出てくる水の量とは関係なく、ここに水や油をどれだけ溜めて
いるかの問題だから・・・1mVの変化で 大きな流れの量を変えた事になる。

ここに100Vの電池が有ったとしたら、それが沢山流れて この両端が50Vになる
のか30Vになるのか の調整は、1mVの変化によって行う。
これを蛇口で言うなら、配管があって大量の水または油を溜めているタンクが上にある。
上に有るほど水深が深いほど 圧力が高い、流れる速さが速い。
それは電池の電圧が高いのと同じ事。しかし水の出る速さは、蛇口を捻る力の強さとは
関係が無い。蛇口を1捻ったら水が0から10に変わる、増幅されて1の力でひねるだけ
で水は10倍出てくる。それと同じ様にトランジスタも周りに1mV入るだけで後ろに
10mVの変化が出れば10倍の増幅率と言える。

ここで気をつけなければ いけないのは、ここに電池が有るということ。電池と負荷が
繋がって無ければトランジスタは入力が1mV変化しても電流に流れられただけで後には
何の変化もない。その時 電池は電流を一方的に流すばかり。蛇口の開け具合によって
水を流すだけ。水道の水は いつまでも来ているから、水道代が要るだけ。

水道局が山の上に水槽を作っていて吉野川から水を汲んで揚げている。それが先の
トラッククレーンの油圧ポンプであり、発電所で起こした電気が家庭まで来ているので
あり、乾電池メーカーが作った化学物質によって満タンになっている電池だったりする。
それ無しで増幅する事は出来ない。

これと似た機構は電気で無くてもある。油圧式の拡声器でもいったが、同じことが
他でも随分あって、ある程度までは機械式のモノで済む。それの代表が自転車。歩く・走る
ことに比べれば かなりの移動量がある。なぜか? 自転車は軽い力で蛇口を捻っている
のと同じ事だから。水を1時間に100リットル風呂に入れる為に10m運ぶのを
バケツで運ぶのは大変だが、水道だと蛇口を捻れば出来る・・・時間は どうかは分から
ないが・・・運ぶために人間が歩くエネルギーに比べれば、蛇口をひねるエネルギーは
遙かに小さい。

自転車も似たようなもので、丸いモノが平坦な路面を転がるのは簡単だが、人間が動く
のは足を持ち上げる動きになるから その分 疲れる。動きを上手に楽なモノに変えた。
その楽なモノに変えるという事がテコに象徴される。
100キロの重さのモノを一気に動かすと言うことは人力では難しいが、10分の1の
テコを持ってきて10キロの重さとすれば簡単に動く。それを10回分動かせば良い。
自転車は1m走るのが軽い。しかし上り坂だと体重をかけても登れなくなる事がある。
同じ自転車でも変速機が有れば上り坂でも、変速機で4分の1の力になったなら
4倍の時間 自転車を漕いでも平気だ。

そんな風に変速機を使えば 坂道でも自転車で登れる。テコでも全く同じ。しかし
これでは要領が良くなっただけでエネルギーの量は変わらない。そこで このテコなら
1:1で構わないから、ここにタンクを作って上から100キロになるまで水を入れる。 
蛇口を捻るのは簡単。水が溜まれば100キロのモノが持ち上がる。下ろす時は下の
栓を抜く。栓を抜くのも簡単。それがトランジスタや油圧のバルブ・蛇口・そういうもの。
蛇口だけでは動かない、水がこなければ。トランジスタだけでは駄目だ、電池がなければ
電気は来ない。大元が要る。

電気の利用方法は何通りも有るが、電気そのものをエネルギーとして利用するのは
ヒーター、電熱器。しかしアンプなんかは 電流の変化分をを利用しているだけだ。
そういう風に使い方が色々有り、巧く使えば 全然違う効果を出す事が出来る。
電気は その為に使い易かったから利用されている。
他には先週言った様に光ファイバーが有るが、現時点では 送る分には使えて電線の
代わりには なっているが、まだアンプに相当するトランジスタが無い。光のまま増幅
できる素子が出来たら、プリント基板の銅箔がアクリル樹脂の光を通す物に全部変わって
済むかも知れない。新しいモノが発見されたら変わる。

電気が発見されたから 真空管に続いてトランジスタという増幅するものが出来たが、
誰かが電気ではなく 光のままで何かを発見していたなら、今の社会は変わっていたかも
知れない。
なぜ電池が要るのか? 動力が要るのか? なぜ水圧が要るのか? 油圧が要るのか?
それに ついて、今日は言いました。


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