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多段式押しボタンスイッチの歴史解説
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a.レバー操作の優位性

 

【2段押しスイッチ解説シリーズ】

b. 多段式押しボタンスイッチの歴史解説

2009年7月

JA5CLB 河野繁美


 

無線操縦用に限らず多段押しボタンスイッチは存在しました。

 

一般の方にとって一番身近なのは、オートフォーカスカメラの
シャッターボタンスイッチでしょう。一段目迄押してピントが合う様にして、
合ったというマークが出たら、そのまま2段目まで押すと、
本当にシャッターが切れて映ってしまう。

この操作は、我々の業界での2段押しとは、チョット意味が違います。
カメラでは、スイッチの1段目と2段目の機能が上記の様に異なっていますね。
1段目フォーカシング、2段目シャッターです。

以前はこれがピントではなく、露出(明るさ)でした。
処が、我々の業界の主としてクレーンでは、1段目も2段目も同じ動作です。
上なら上、下なら下 或いは東なら東、西なら西のままで、1段目も2段目も、
それは変化しないままです。

では何が1段目と2段目で変わるのか? それは速度です。
通常は2段目まで強く押せば速度が速くなるのです。有線式の物では、
3段式の物まで販売されていました。当然ながら速度が3段式・・・3スピードです。
低速、中速、高速と変化するのです。コレは何の為でしょう?

距離の長い所では時間が掛かるから高速で走りたい???・・・違います。
それも役には立ちますが、クレーンを中心とした業界で、最も重要なのは、
速く走る事ではなく、止まるときのことです。

止まる直前に、ユックリとスムースに止まる事が出来るか??
コレには最低速から停止に至る必要があります。車の運転でも、
ブレーキの下手な人は、「カックンブレーキ」と呼ばれますね。
それでは吊り上げた荷物や それを降ろす場所、取り付ける相手を
破損してしまうので最低速まで減速する側が、重要視されたのです。

もともと、加速の方は、いきなり最高速で走り出そうとスイッチを入れても、
重い荷物とクレーン本体の、小さな動力で、そんな急発進には成りません。
処が停止の前には動作のスイッチから手を離して切れると、その時点から
自動的に電磁式ブレーキが掛かり始める回路設計になっています。

それで、動くのを、辞めると ぎゅーっと止める形になるのです。

 

その「ぎゅー」が「かっくん」に、成らない為には、普通 ブレーキの効きを
弱く調整するだけなのですが、此処で、元の速度を低速に保てれば好い訳で、
その最たる物は、低速走行でも無く、「勢いによる惰性走行のみ」の状態です。

その惰性のまま自然に止まれば、何の問題もないので最善です。

処が、それでは思った場所へ止められませんので、やはり、「ぎゅー」が必要です。
更には停止状態の維持も難しくなります。筆者が現実に体験した例でも、
風が吹くと動くクレーンも有りました。それでも「無線が悪いからクレーンが暴走する」
と言うクレームなのです。コレじゃあクレーンじゃなく、クレームだ。

 

そういう訳で、低速へ減速して行く事を必要として、
多段の押しボタンスイッチ式操作が、 無線化以前から存在していたのです。

更に押しボタン以前から、運転台式では、レバー操作に拠る7段式程度が常識でした。
コレは、電車の運転席と殆ど同じ事でして、モーターの力を切り替える為の抵抗を
大きなスイッチで切り替えていたのです。そして、最後に、ぎゅーっと位置を合わせて
止めるのは、電車や自動車と同じ床踏み式ブレーキでした。

ですから、足の踏み加減によって、ぎゅーーっも、加減して、カックンブレーキを
避けられたのでした。

処が、押しボタンスイッチになると、その加減は有りません。
スイッチを離した途端に一定の強さで効くぎゅーっが、カックンか?どうか?汗・・・・

 

それで、無線になった時も各社とも、2段押しスイッチの装備を目玉にすべく
狙っていました。

当然 我が社でも、それまで使っていたエレクトロニクス用タクティールスイッチ
(タクトスイッチ)という種類の範囲内で捜していました。

既に上に述べた、3段式迄有ったという有線操作用は論外でした。
それは大電流用であり大型で、我が社の送信機に使える様な物では
無かったのです。

先ず寸法面で、片手で握ってしまって保持する様な厚みの送信機内に
収容できるサイズのスイッチでは有りません。

次に操作力が強過ぎて我が社の送信機筐体ケースとは合いません。
スイッチを操作する程の力を掛けると変形して壊れてしまいます。

最後にスイッチの電気特性です。それらのスイッチは大きなモーターを
直接廻す程の大電流向けで、我が社の製品のトランジスターやICに流す微電流では
接触不良状態ばかりでスイッチの入り切りになりません。

こういう訳で、ライバルの無線メーカーも又同様に、エレクトロニクス部品としての
スイッチを捜していたのでしょう。ある時、我が社の製品の普通の1段押しスイッチとして
買っている、そのスイッチメーカーからも、他メーカーからも2段押しスイッチが
発表されましたので資料を取り寄せて検討しました。

それらは両方とも、寿命の点で使えないと判断して諦めました。
それまで使っていた1段押しスイッチに比べて1/10の使用回数しか持たないのです。
それでは瞬く間に壊れリコールに疑い無しでしょう。なのに、暫くすると
ライバルメーカーの某社が、我が社の常用メーカーではない方の
2段押しスイッチを使った製品を某クレーンメーカー名のOEM生産で
販売開始しました。

それを見て、興味津々。どうなる事か?・・・と見ていましたら案の定
・・・リコール発生で、OEM先のクレーンメーカーも、ライバルの無線機メーカーも、
その機種を販売停止となり、リコール対策には普通の1段押しスイッチ製品が
出てくるという始末でした。

 

ソウした中、我が社の東日本代理店(当時、関東代理店?)が、
近隣のスイッチメーカーを呼びつけて、2段押しスイッチをエイヤーっとばかり、
特注で造らせてしまいました。

コレの性能仕様を見ますと、1段目部分は従来の1段押しスイッチと同等の寿命。
2段押し部分も、その半分有りました。(1/10では有りません。)

実際の使用時に何時も必ず2段目まで押してしまう訳ではなく、
1段で終わる率も高い事から妥協して、
その規格性能で妥協して次からの設計に採用しました。

無論、同じ設計基板上に、従来品の1段押しスイッチも、
そのまま装着できるようになっている事は言うまでもありません。
それは、一般の上下東西南北3次元方向の全ての高速低速が揃っている場合など
無いからです。大抵は、どれか1組か2組が2スピードだというに過ぎません。
それでも、「3組の内の、どれだ?」っと言う特注問題は起きるのです。

ライバルメーカーは全てが、2スピードでした

当社製品の場合、その都度、必要な場所にだけ2段押しスイッチを入れて、
他は従来の1段押しスイッチを入れれば無用な問題も避けられる訳です。

コレで、随分と、我が社の競争力を高めました。

それが出来たのも、元々、イージーオーダー制を実施できていたから、
ユーザーのクレーンの状況に合わせられたからです。

ライバルの場合は、全ての組が全部2段のみという状態で出荷され、
2段押しが必要のない部分でさえも「2段押しスイッチのみにしか発生しない」
という特有のリコールを余分に発生するのでした。

こうして、既存スイッチメーカーによる寿命1/10というスイッチに比べ
5倍の特注でのスイッチで、スタートした我が社でしたが、それでもスイッチの故障は、
普通の1段押しスイッチと比べれば、かなりの率に上りました。

その理由は、生産数の少なさによる、品質問題が一つ。2段押しという事での
ストロークの大きさによる設計的宿命が一つ・・・なのでした。  

 

其処で、抜本策として、自社設計自社生産により、根本的に1段押しスイッチと同等の
寿命を目指す事になりました。

 

【2段押しスイッチ解説シリーズ】 初期自社2段押しスイッチ >>

 

設計方針は?? 簡単です。

普通の長寿命1段押しスイッチを2つ重ねて組み合わせるだけにするのです。

では、何を? 何処を? 設計するか?

それは普通のスイッチを2つ重ねて配置する台の設計です。

この台は、重ねて上から押して行くと、2つのスイッチが順にオンして行く構造の台を
形成すると共に、その一方のスイッチへの配線も兼ねた金属でなければ
成りませんので、バネ能力を持つ、リン青銅板です。

この板により、先の特注品と似た足(電極接続)配置になる事も出来ました。

寿命の結果は上々です。上記の足配置は似ているものの完全互換ではなく、
又、全て(リン青銅版と1段押しスイッチ2個)を組み合わせて完成した物の外寸は
多少違います。そこで、既存機種の、スイッチ廻りのプリント基板書き換えが必要に
なりました。機種によってはプラスチックケースの改造も必要です。

 

これは先のスイッチメーカー製2段押しスイッチの方が
最適の寸法と異なっていた為で
今度 自社で作った物の方が却ってノーマルな寸法を保って居ます!

自社製の方が都合良く設計出来ているのです。ワハハ・・・・

 

それでも、新しいスイッチを使える事のメリットは絶大なのです。

 

それで、順次、切り替え中です。旧機種も新型へのバージョンアップや、
モデルチェンジ下取りなどを致します。営業課補修課へご相談下さい。

 

 

c.初期自社2段押しスイッチ

d.押しボタンスイッチの寿命

e.仕様(がない)書

段々物語 (自社設計2段押しスイッチ開発物語)

 
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