産業機械用無線操縦装置-朝日音響株式会社

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四国放送「阿波紳士録」(徳島銀行提供番組) 231回

1997,0302
聞き手:さかがみあきこ アナウンサー

紹介:
市場町で生まれ現在46歳。徳島の2社のエレクトロニクスメーカーに勤め、
昭和51年に 朝日音響機器株式会社 入社。翌52年 朝日音響株式会社を設立、
常務取締役に就任。半年後 26歳で社長に就任。


坂上:河野さんおはようございます。

河野:おはようございます。

坂上:26歳と言う若い時に作られた会社「朝日音響」ですが、今年で設立20年。
何を作っている会社でしょうか?


河野:名前には「音響」とついており、先代から ずっとオーディオ機器を やって
いました。
しかし私が就任した頃から無線関係の機械に段々と変わってきて、現在は
クレーン等の機械類の無線操縦に使う機械を 我が社で1から生産して全国に販売
しています。

坂上:クレーンの無線操縦?

河野:はい。

坂上:これは工場とか建設現場とか そう言ったところですか?

河野:それから港湾ですね。船から荷物を積み込んだり、そういう部分で使われている
クレーンの無線操縦な訳です。

坂上:それは河野さんの ところが作るまで、有線の場合が多かったのですか?

河野:はい。無線そのものは国内の大手の会社が2~3社、20年以上前から作って
いたのですが、我が社で非常に安い、従来の三分の一と言う機械をもって参入して
から市場が変わってきました。
従来は「危ないから無線以外では操作が出来ない」というクレーンにしか、
値段が高い故に使われていませんでした。私どもが参入して以降は「便利だから」
という客層が増えています。

坂上:昔は どういった方々が使っていて、今は どういった方々が使っていますか?

河野:かつては製鉄所の非常に熱い中で 人間が側に付いていられない、あるいは原子力
発電所で被爆する、そういったところが無線化されていた訳です。
ですが今は、ちょっとした町工場でも、1人の人間が無線操縦でクレーンを吊り
上げる操作をしながら 荷物の片端を手で押さえて、そういう形で歩いて行けます。
だから1人でもトラックへの積み込みが出来る、そういう場面で使われています。

坂上:これは勿論 お値段が非常に安くなったから、皆さんが買い易くなったと言う
点が大きいですね。


河野:そうですね。最初は無線機だけで150万、それに改装費、工事費と色々要って
いました。我が社が業界に殴り込みをかけた時点では150万に対して45万円で、
まだ卸値がある、という状態でした。

坂上:殴り込みとの事ですが、最初音響関係のメーカーだった所が段々と無線に
変わってきたと言う処が まさに殴り込みと言う感じがします。


河野:そうですね。只、今の業界に直接入った訳では有りません。オーディオ機器
メーカーで今のカラオケの元になった様な機械を生産していた処へ、たまたま私が
入りました。次に何の仕事をしようか?と言う事になって、(今と)同じ無線操縦で
自動車のエンジンを掛ける装置を 世界で初めて売り出した訳です。
ところが自動車の業界は相当数を売る必要が有るのと、黎明期で非常に難しかった
ので、同じ無線技術を もっと値嵩の張る物に利用して、楽に食える方法は無いか
模索した結果が この(クレーンの)無線操縦の業界だった訳です。

坂上:クレーンのですね。

河野:はい。業界ではクレーンを中心に他の、例えばトンネルの電気機関車であるとか、
トンネル掘り機そのものとか、そういうクレーン以外の物にも、我が社は新参者で
あったが故に、一番沢山違う分野にも無線機を供給している状態です。

坂上:コストを抑えて商品が できあがるミソは何ですか?

河野:一つは設計上の妙と言うか、面白さ。もう一つは、世界最高の品質を誇る民生機器、
テレビやラジオ等 一般の人が使うエレクトロニクス部品を産業用の製品にポンと
使った事です。安い部品を使って良いものを作る。焼き肉のタレみたいな話に
なりますが。(笑)

坂上:(笑)安い部品を使って良いものを作る。それって凄く まっとうですよね。

河野:ですが、これは何の商売にでも言える事ですが、今までの伝統に則った商売を
営々と されている方は、余り そういう事を考えず、今までの延長上で もっと
努力をする・・・と言う事を考えている。我々は新参者で そういう考え方とは
違うので、あれが駄目ならコレ、コレが駄目ならアレ、もっと良い物は他に無いのか?
それを いつも考えています。

坂上:皆が手に入れやすい優れた民生機器(部品)と言うのが一つのポイントと言う
事になりますね。


河野:そうですね。日本製の電子部品と言うのは、ヨーロッパやアメリカでは軍事規格で
通る位の品質らしいので、我が社の製品が それで出来ると言うのも当然と言えば
当然の話なのです。しかし従来の考えに囚われた方々は「そんなチャチな部品が
使えるか」と言って 終わりなんです。

坂上:チャチなモノに なってしまうんですか? それは やはり26歳で会社を設立
して、色々な苦労が有る中ここまで来た・・・その後が伺えるんでしょうか?


河野:そうですね。会社設立と言っても私は最初 常務でしたから「設立に立ち会った」
に近い状態だったのですが、前任者が音を上げた時にも しぶとく生き残りました
ので社長という立場に なりました。
大体 物を作ったり会社組織で粘りを発揮すると言うのは、私個人が色々な工作や
電気の趣味を持っていて、それが工夫の固まりであった、その事から来ているんだと
思います。

坂上:そうですか。今クレーンの業界に河野さんの所の製品が使われている訳ですが、
全体から言うと どのくらい使われているんでしょうか?


河野:クレーンを中心とした場合、無線操縦そのものの装着率が10%に満たないと思い
ます。その中で上位3社の一角を我が社が占めているんじゃないか?と思っています。

坂上:では この10%と言うのは将来的には 広がる可能性が?

河野:まだ十分な広がりは期待できます。ですが それが終わる前に別の業種に進出
しないと会社として 経営的に終わってしまいます。終わった後では間に合いません
から、今も色んな物を模索し続けています。

坂上:では、今も色んな新しい製品のアイディアと言うのは有るのですか?

河野:はい。パソコン関係では、誰でも最初から速く打てるキーボードとか・・・

坂上:それは凄く欲しいですね。

河野:はい。私は元々パソコンを使っていたのでは無いのです。電子手帳を使い始めて、
並びがローマ字なんですが、これでパソコンが打てたらと思いました。早速普通の
パソコンのキーボードの裏側を自分で切ったり繋いだりして作りました。
これが「いける」と言う事で、それから売れる様な物に取り掛かって・・・今
試作は出来ています。
それから、自分が欲しいと思う物を作っている様な物で、いずれは
プレジャーボートの造船と言う面で商売設立できるのではないかと思っています。

坂上:造船

河野:はい。造船です。

坂上:何となく大きい話ですね。

河野:皆さん「今は軽薄短小の時代で重厚長大は駄目だ」と言っていますが、本当は
重厚長大の会社が、その状況に甘えて食い繋げなくなって、それで「軽薄短小だ」と
言っているだけです。本当は大きいモノの方が儲かるんだと 私は思っています。

坂上:(笑)そうですか。でも全然 分野が違いますね?

河野:はい。ですが経営の仕方や物事に対する考え方、捉え方というのが基準だと思い
ます。私は一介の技術屋として やってきた中で、その技術屋としての考え方が
経営でも通用したと、この20年間余りの経験の中からは思っています。
慣れてしまえば同じ事だと考えています。

坂上:社内の機構だとか会社組織の在り方も随分未来を行っていると言いますか、
ユニークとでも言いますか・・・


河野:そうですね。食えない時に 皆シャカリキになって仕事を頑張るんでしょうけど、
私どもは そうではなくて、「食えないんだから楽にしよう」と休みを増やした、
そういう時代が有りました。もう8年も前に年間休日が125日あるとか、
労働時間が1年間で1740時間しか無いとか、その時点を とっくにクリアして
います。その上に社員を定着させる為に待遇を良くしなければイケナイと言う事で、
給与面でも 自分達の納得できる給与の制度化を完了しています。

坂上:労働省の1回目の ゆとり創造賞も受賞したと言う事で、狙っていったと
言う事も?


河野:向こうから落ちてきまして(笑)その時まで年間休日が125日と言う認識が
全くなくて、100日なのか120日なのかも想像が付かなくて、カレンダーを
めくって数えてみたら125日でした。「余所は幾らなの?」と聞いたら遙かに
少なかったのです。そんな状況です。

坂上:今社員は何人ですか?

河野:私を含めて37人が常勤しています。

坂上:新しい製品のアイディアを考えたりと 企画を担当しているのは?

河野:開発室として 私を含め6人ほどが、最先端の事に当たっています。

坂上:製品を作れば今度は売らなければなりませんね。そういった面で営業というのは
どの様に やっているのですか?


河野:我が社は営業が根付かなかったと言うか、商品力で営業展開をしてきました。
現在は通信販売に非常に似た様な状態で、我が社では「通信営業」「通信サービス」
と呼んでいます。お客が「来てくれ」と言っても「いいえ、行きません」と言う物で
最初の頃は摩擦が多かった物です。
製品の値段が非常に安い物だから、例えばカメラを買った時にカメラメーカーに
「来い」と言った時、メーカーは1ユーザーの所に来ますか? と言う話から
始めまして、現在どうやら受け容れて貰える状況に なったと言う状態です。

坂上:製品を安く提供できるのも、こういう営業の仕方と言うのが1つの原因になって
いるのでしょうか?


河野:そうですね。営業経費を掛けていませんので。我が社の営業は8人ですが、外へ
売りに行くのではなくて、お客さんより入ってきた電話やファクシミリを元に、
ニーズに合った製品を 書類にして提案する。これが営業活動です。

坂上:では取り付けたりするのは?

河野:我が社から製品を購入した工事業者や商社、あるいはクレーンメーカーが、
現場で取り付けたり、クレーンを作る際に 組み込んだりしています。

坂上:そうですか。製品のアイディアも企業としての在り方も、どう言う所から
そういう考え方と言うのは生まれて来るのでしょうか?


河野:私は元々機械いじりの好きなラジオ少年とでもいうか・・・そこからスタート
していますので、物を本当に物として純粋に捉えます。良い・悪い・便利・不便、
その捉え方そのものが在るべき姿であって、「気分が悪いから云々」等と感情が
入って無いからこそ真実が見抜ける。
その真実を元に不便な部分は改良し、安い物を作る。それが商品の競争力を
生むのだと思っています。同じ意味で会社の機構にしても営業方法にしても真実を
見極める所から始まる。情報化と言う言い方が出来るかも知れません。

坂上:そうですね。アメリカの最近伸びてきているシリコンバレーの企業では、役員も
役員室ではなく近くでデスクワークをしており、フットワーク良く仕事が出来る
場所に居る。わざわざヘリコプターで飛んで来たりはしないと 実を取っている所が
有る様ですね。


河野:そうですね。我が社は約20年になりますが、10年前だと私も若い者を引き連れ、
サービスに現地まで車で走ると言う事が結構ありました。
1人で26人乗りのマイクロバスを運転して東京まで行った時も有ります。
マイクロバスは実はサービスカーで 測定器がズラッと乗っているのですが・・・
そういうことも過去には随分経験してきたもので、これからは新しい商品を作る
と共に若い人達に そういう現場を踏むとか、売り込みの手法とかを伝達して
行きたいと思っています。

坂上:新しい製品の中に造船と言う話が有りましたが、実は趣味がヨットで昔 自分で
鉄工所で作った事が有るそうですが?


河野:自分で描いた図面を元に造船所で作って貰いました。ただし溶接の必要な船体だけ
ですが。だからエンジンを据えるとか、マストを立てるとか内装を含め そういった
部分は全部仲間を集めて自分達で やった訳です。
当時そのヨットは県下で一番大きいヨットより まだ大きかった為に、随分変に
思われた経験が有ります。

坂上:(笑)自分で図面を引いて作ろうと思うのは どうしてでしょう? そこに
河野さんらしさが出ていると思うのですが?


河野:それは1つにヨットが高嶺の花だった訳で、安く作るにはどうするか? と製品を
作っているのと同じ様に考えた訳です。順序が逆かも知れません。
趣味の方で高い物が買えない、どうやって作ろうか? それと同じ事を仕事に
応用したのかも知れません。ですから当時、普通の内装の良いもの付いたヨットが
3000万くらいするのを、300万位で作った状態ですね。

坂上:そうですね。ヨットは高いというイメージが有りますね。

河野:実際は そんなに お金を使わず乗っているのがヨットマンで、お金は有るけど
時間が無いと言うのはモーターボートの人じゃないかなと思っています。(笑)

坂上:(笑)そうですか。このヨットに関しては「月刊くるうず」と言う、河野さんが
編集発行人となっていて全国に読者が居るそうですね。


河野:はい。今、月に80部くらいを出しています。全国から請われて無償で発行して
いますが、切手代だけは負担して貰ってるので月80円です。月刊ですが、1月の
ページ数が10ページくらいの物を 毎月自分で編集して切手を貼って全国に送って
います。

坂上:これは元々どう言う所から こういうのを出そうと思ったのでしょう?

河野:地元ではヨットを いじったり改造すると言う事が余り無かったのですが、私は
工作が専門です。他の人達にも、もっとヨットを自分が気に入るように改造したり
して欲しかったから、工作の記事を中心にスタートしました。そうすると航海記の
原稿を寄せてくれる人が現れたり、自分も こんなのを作ったと言う人が現れて
原稿も集まりますし。半分は自分の経験ばかりを ずっと書いています、沢山ネタが
有りますので。

坂上:物作りの楽しさの原点を良く ご存じの様ですね。

河野:小さい頃から おもちゃは全部壊して中身を見ていた(笑)中身が どうなって
いるのか? と。壊すと言う事は作ると言う事、スクラップ&ビルドかも知れません。

坂上:そうですね。製品を作って、それを如何に売るかと言うのも又、ある意味で作る
作業かも知れませんね。


河野:そうですね。「市場を作る」と言う事でしょうね。それは作ると言う共通性の点
では同じ様な気がします。創造と言う事の喜び、これは物を作っても組織を作っても
似た様な所が有るんだと思います。

坂上:そうですね。そんな河野さんが座右の銘としている言葉を教えて下さい。

河野:今回良く考えてみて何だろうか?と思いましたが、「反抗・不屈」を揚げたいと
思います。小学生の頃から生意気な子供だったので、目上の人から色々と叩かれて、
それを如何にして乗り越えるかと言う事が日常茶飯事でした。目上というと外部だけ
でなく両親も だったので、「反抗・不屈」と。
取り敢えず反抗しすぎて終わりになったら どうしようもないですが・・

坂上:そうですね。憎しみだけに なってしまうと・・

河野:そうです。そこで論理的に自分の力も わきまえた反抗の仕方をする。潰されない
程度で生き長らえながら、「見てろ、決して屈しないぞ。その内 逆転してやるぞ」
と言う事で、潰されそうになった会社も持ち直しました。(笑)
それから趣味の船も、先の大きな船はスクラップにして終わりにしましたが、
数年前に別の中古艇を買ってきて再びヨット界にカムバックしました。(笑)
不屈です。

坂上:(笑)では小さい時から「出る杭は打たれる」と言いますが・・・

河野:そうです。打たれっ放しの様な気がします。だから打たれ強くて、お金が無くても
平気だし、邪魔する人が沢山居ても平気だし。ヨットで言えば逆風に次ぐ逆風を
ずっと生きてきた、少々の事は平気だよと言う様な物です。

坂上:その逆風が有るからこそ 創造のエネルギーが掻き立てられるのでしょうか?

河野:実際 強くなった面と言うのは有ると思います。円高だ何だと言っている日本の
経済も似た様な所が有るのでは ないでしょうか?

坂上:そうかも知れませんね。どうも有り難う御座いました。


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